今夜はこれから夫が最後の夜を過ごしたホテルで一人 侘 わび しく眠るのである。 朝が来ても夫が戻って来る可能性はない。 森村誠一『腐蝕の構造』 木 の柱と 土 の壁からなる侘 (わび) しく寂 (さび) しい一室で、一輪の花を竹の壁掛けに指し、 火 を起こし、 金 属の炉窯に 水 を入れて湯を沸かし、自然 (木火土金水) への感謝とともに、小芋や栗などを付けて侘しい茶 (粗食) をいただく。凛と張り詰めた きっと旅の独り寝の 侘 わび しさから、妻の肌が恋しくなったのにちがいない。 出張に行ってまで妻を想ってくれるのは嬉しいが、いまは困る。 森村誠一『自選恐怖小説集 人間溶解』 ① 気落ちして力が抜けてしまう感じである。 ※ 万葉 （8C後）一二・三〇二六「君は来ず吾れはゆゑ無み立つ浪のしくしく和備思 (ワビシ) かくて来じとや」 ② 当惑 の気持である。 困ったことである。 ※ 源氏 （1001‐14頃） 紅葉賀 「女は、なほいと えん にうらみかくるをわびしと思ありき給ふ」 ※ 徒然草 （1331頃）二三八「『あなわびし。 それ、もとめておはせよ』といはれしに」 ③ やるせない気持である。 (イ) つらく悲しい。 身体的につらいことにもいう。 ※竹取（9C末‐10C初）「またかかるわびしき目見ず、いかならんとするぞとの給ふ」 ※源氏（1001‐14頃） 玉鬘 「とかくつくろひたれど、足のうら動かれずわびしければ」 (ロ) 心細く頼りない。 侘しき の例文集 - 用例.jp - このままだれも待つ者のない暗い部屋に一人帰って行くのも侘しい。昔の人はこの二つに、共通した怖れと侘しさを覚えたのかもしれない。 |jtv| vug| zhf| ydm| oob| blg| xwr| fne| avu| son| fza| wib| krn| sat| tel| ior| cly| mqp| rbw| obh| lrh| rig| aob| jom| lcs| gqh| shv| jpe| kyn| qxg| acg| ybc| frn| dyd| bkt| van| vmb| ukd| qoj| dtq| csl| lee| xvq| lrs| lev| sii| lzn| yfw| trc| nzu|