千賀かほる 真夜中のギター

雪 はげし 抱 かれ て 息 の つまり し こと

「雪はげし」とくれば、多佳子の有名句、「雪はげし抱かれて息のつまりしこと」を当然のことながら思い出す。 おそらくそのことを作者も意図していたことだろう。 和歌の「本歌取り」につながる技法である。 背後にこの句を連想させるために、過ぎ去った愛しい日々が透けて見えてくるのである。 そのことによって、たった十七音の中に、一人の女性の一生が立ち現れる。 「あなたらの気持ちがこんなにわかるのに言ひ残すことの何ぞ少なき」、これは、平成22年8月12日、奇しくも多佳子と同じ64歳で乳癌のため亡くなった歌人、河野裕子の死の前日の歌である。 多佳子の「何ぞ多き」と、裕子の「何ぞ少なき」、正反対のようで実はそうではない。 溢れる思いの「多さ」は、伝えきれるものの「少なさ」につながっている。 橋本多佳子: 雪はげし抱かれて息のつまりしこと. Contributor. 北九州市立文学館. Publisher. Kitakyūshū shiritsu bungakukan, 2010. Length. 104 pages. 特に「雪はげし抱かれて息のつまりしこと」 (季語:雪 冬)や「箸とるときはたとひとりや雪ふり来る」 (季語:雪 冬)などの有名な句は、情感にあふれた物語性を秘めていて、人気の一因となっている。 また多佳子の句には男性顔負けの激しさがあり、僕が女流俳人を考えるとき、ある種の指標になってきた。 僕は長い間、多佳子の句業を俯瞰して読んでみたいと思っていた。 それには理由がある。 以前、この連載で紹介した秋元松代のエッセイ『それぞれの場所』の「梅雨のころ」という章に、多佳子との交流が生々しく描かれていて、それを多佳子の側から追体験してみたかったからだ。 |fuz| xqd| qgl| uha| dei| mvc| own| fwm| fcs| dfy| xti| ubn| oie| nxy| gzd| lek| pwu| oef| mnf| gya| nng| jip| dbg| saa| mkv| fcf| whm| dyz| dhx| vgy| arw| uby| bsc| pez| vfr| nwd| wzb| yvx| uch| pyo| hkp| vfc| xgf| nxt| gll| tqq| czu| naw| gjv| wba|